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問題点1
自社の経営計画は、もっぱら予算数値と部署別の課題等で構成されている
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A事業部所属の「品質保証部」「資材部」、B事業部所属の「工事部」は、それぞれ他の事業部にも必要な役割であるにも関わらず、他の事業部内には同職務を行う部署がないことから、業務の分担や連携に問題を引き起こすこととなってしまいます。 共通(間接)機能の曖昧な組織編成は、部門間の効果的な連携を通した自社商品やサービスの提供の阻害要因となるばかりか、部門の業績把握の観点からも不透明さをもたらすことになるでしょう。そして、不透明さの弊害は、単に業績の把握といった人事制度や管理会計的な問題以上に、もっと本質的で深刻な「顧客」の不満足という形で跳ね返ってくることを認識しておく必要があるでしょう。
Organization chart story組織図は語る

組織図は語る
組織図が、会社の実像を語っていることを知っていますか?
組織図とは、「組織の基礎となる活動や業務の流れの全体像を目に見える形で表したもの」です。 と同時に、組織図は、見方次第では経営情報の宝庫であり、「会社の現状と将来を表す鏡」であると言うことができます。 ここでは、当社で分類・整理している数ある類型の中から2つの組織図をピックアップし、その特徴や問題と改善の方向性について紹介します。
Case 1間接部門未機能・混乱型
- 社員数約80人の設備関連機械の製造・設置・工事等を行う中小企業である。
- A~Cの各事業部は、製品の大分類的な種類で分かれている。
- 元々はB製品製造を行っていた。
- その後、若干機能の異なるA・C製品群の投入で事業が拡大。
- どの事業部の製品も基本的に大型で、設置にはノウハウを要する。
それぞれ独自の工事やメンテナンスも必要であり、自社で一通りの対応が可能。
X社の組織図

改善と対策の方向性
会社の将来像と戦略の具体的な計画化に加え、立案した戦略推進に寄与する必要組織の機能(業務の整理)やミッションの検証・検討がきわめて重要となります。 また、こうした会社の場合、複雑な指示命令系統と曖昧な役割や仕事の分担で、意思決定のスピード・権限委譲等で問題が発生したり、変化を好まない、保守的な風土が形成されていることが考えられます。 「守りの風土」は環境変化の早く激しい現代においては、戦略推進上の阻害要因となる要素が多いのも事実です。こうした点を改善していくことで、新たな会社の成長を実現していくことも可能となるでしょう。
Case 2非効率内在型
- 社員数約100人の中古車を中心に自動車の販売・修理等を行う会社。店舗数9店。
- 近年、既存店の売上・利益ともに低下傾向にあり売上減少を新規出店で賄う状態。
- 社長のモットーは、『顧客志向の実践』と、『営業に結びつかない管理間接部門はスリム化し無駄を省く!』である。Y社のスタッフ部門は総務部の3人。
- 仕入れは、店ごとに個別に行っている。各店の営業担当者が個人ごとに仕入れを行ったり、各店が同じ仕入先から個別に仕入れることも多い。
- 各店の営業(サービス)は、担当顧客への膨大なDM書き等で残業も多い。
- 店舗業績については、そもそも出店場所が悪い、という声もある。
出店は業者から持ち込まれる物件の中から、社長と専務で選定しており、他に携わっている人はいない。
Y社の組織図

改善と対策の方向性
管理・間接部門の肥大化をよく「大企業病」などと言いますが、逆に、管理間接部門をできるだけスリム化して、無駄を省く等、組織効率や営業強化等にとらわれ、無駄を省いたつもりが、かえって無駄を内在させた組織になってしまうということも十分認識することが大切です。 真の効率化を理解するためコスト構造をはじめ、会社の現状を十分に分析し、中期的な経営戦略の策定や再確認を行ったうえで、組織の機能(業務)の整理・検証を行ってみましょう。管理・間接部門の役割を整理した上で、リーダーの役割・能力像を明確化し、人財育成を図っていくことも大切なポイントとなります。